「お嬢さんを俺にください!」

部屋に戻ったら

小さいストーブの前で
彼女は布団に包まってた



いなくなってなかった



だよね

やっぱりそんな子じゃない



だって可愛いし…



「やっぱりまだ寒いよね
このアパート、ボロいからさ…

腹減った?
俺、カップラーメン食べるけど食べる?」



そうは言ったけど1個しかなかった



「あ、最後の1個だった
やっぱりコンビニ寄ってくればよかった」



でもコンビニ寄ってたら
この人、死んでたかもしれないな…

なんて大袈裟か



可愛いから
誰かに連れて行かれてたかもしれない

こんな夜中にそれもないか



グー…



とりあえずカップラーメンのお湯を沸かした

俺が腹減ったから



なんであんなところにいたの?

そんなこと聞けねーし



手首どーしたの?

触れてはいけない



誰かに襲われたの?

もっと聞けねー



「あの…
スープをいただいてもいいですか?」



「わあ!」



すぐ近くで気配がして
驚いた



すぐ隣にいた



「あ、うん…
スープね
コンポタと玉子スープどっちがいい?」



「コン、ポタ?
じゃあ…玉子スープで…」



さっきから変なところに?入るな


日本人じゃないのかな?

留学生?



「へー…そこに入れるんですね」



「え?」



逆にマグカップに入れなかったら、どこに?


玉子スープにお湯を注ぐのを
俺の隣でじっと見てる


可愛い♡



「わあ…お花みたい!
玉子がフワーって…」



なに?

その感動のリアクション


可愛いからいいけど♡



「玉子スープ飲んだことない?」



「玉子スープはありますけど
こーゆーのはちょっと…
いい匂いしますね」



「うん…」



さっきからずっといい匂いする

女の子の甘い匂い



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