「お嬢さんを俺にください!」

ハア…ハア…ハア…ハア…
ハア…ハア…ハア…ハア…



全力で走って駅に着いた



久しぶりにこんなに走った



「レーニャ、時間、大丈夫?」



「…うん…」



「レーニャ、めっちゃ疲れてね?」



「疲れてないよ、、
走ったから、、息がきれてるだけ、、、

ユーヤの方が、疲れてるでしょ
バイトだったのに、、、ごめんね」



「ぜんぜん…
レーニャ見たら、元気出た

お茶、ありがと…
毎日飲むわ」



「いいよ、、不味かったら飲まなくて…」



「飲むって…」



「飲まなくていい!」



「飲むって…
せっかくレーニャ持って来てくれたし…

レーニャ、時間大丈夫?
あの人、待ってんじゃね?」



「あの人って?」



「あの人って…婚約者」



婚約者



一気に気持ちが重くなった



「レーニャ、手、離して…
早く行きなよ
門限、間に合うの?」



ユーヤに言われて気付いた

ユーヤの手をずっと掴んでた



「あ…ごめん…」



息を整えて
冷静になろうとしたけど



「レーニャ、気を付けて…」



「ユーヤ…」



「なに?」



「ユーヤは、、あの人が、好きなの?
あの、、、お菓子の人、、、
ユーヤの、ファンの…」



「え、なにが?
好きとか…別にそんな…」



「ドキドキする?
会いたいと、思う?」



「なに言ってんの?レーニャ」



「私ね…
婚約してるのに、、あの人のこと、、
好きか、わかんない

思い出せないの、、、
好きだったのか…」



「そんなん、俺に言われても知らねーし…」



そーだよ

なんで言ったんだろう



ユーヤには関係ない



「うん…ごめん…」



ユーヤに言っても仕方ないのにね



「うん…ちゃんと帰れよ

ちなみに俺、今ドキドキしてる」



「え…私も…私もしてる」



ユーヤも?



「フ…ハハハ…

だよな…走ったから…」



勘違いするなよ!って言われたみたいで
恥ずかしくなった



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