「お嬢さんを俺にください!」
「いらっしゃいませー!」
「ハイオク満タンで…」
車の中から高級そうな香水の匂いと
金持ち色のカードが出てきた
もちろん車も高級車
この人は俺と同じ年の頃
どんな夢を持ってたんだろう?
高級車に乗りたいとか
金持ちになりたいとか
今の俺は無縁だけど
数年後の俺はどこで何してるかな?
「ありがとうございました!
カードお返しします」
見たことある人
どこだっけ?
よく来るお客さん?…ではない
「優里愛、大丈夫?
薬飲む水買ってくるから待ってて…」
ゆりあ…
運転席から男性が降りて
自販機に向かった
助手席を見たら女性が乗ってた
レーニャだった
「レーニャ…」
レーニャが虚ろに俺を見た
レーニャじゃないみたいだった
「ユーヤ…」
やっぱりレーニャだよね?
「大丈夫?具合悪いの?」
「んーん…大丈夫
ちょっと車酔いしたみたい」
そう言ったレーニャの腕が
赤くなってたのが気になった
大丈夫じゃねーだろ
なんかあった?
「レーニャ、元気だった?
最近、来ないから…」
「うん…
大家さんの苺、食べ損ねちゃった」
とっくに苺の季節は終わってた
レーニャちょっと痩せた?
「あ、お茶ありがと!
おかげで、くしゃみ出なくなった気がする」
「うん
だって花粉症の季節終わったもんね
ハハハ…」
レーニャ、笑った
「え…あ…そっか…ハハ…」
つられて笑ってみる
やっぱりレーニャだ
レーニャ
俺はレーニャに会いたかった