「お嬢さんを俺にください!」

「レーニャ、そろそろ帰らなきゃじゃね?」



「えー、もお?」



「もぉ外暗いよ」



遅くなると
陽介が迎えに来る



GPSがついてるスマホは
いつも友達に預けてユーヤと会ってた

陽介にはそれがバレてる



「帰りたくないな…」



ユーヤとのデートは
いまだ叶ってない



ユーヤはもぉ忘れてるかな

ユーヤはもぉ私のこと好きじゃないかな



春になったらユーヤはいなくなる

海外に行っちゃう



私も一緒に行きたいな

夏休みにコンビニでバイトを始めたのは
そんな気持ちもあってだった

両親と陽介には社会勉強って言ってある



なに不自由なく生きてきた

両親のおかげで



家に頼らず
ひとりで生きてるユーヤに惹かれる

ユーヤはきっと
私なんかいなくても生きていける



私はユーヤがいなくなったら…



「レーニャ、それ食べたら帰りなよ」



「ヤダ…」



ユーヤが私の手にある焼き芋を
ひとくち食べた



「あ!ユーヤ食べた!」



ユーヤがいなくなったら

ヤダ…



< 179 / 243 >

この作品をシェア

pagetop