「お嬢さんを俺にください!」
「レーニャ、そろそろ帰らなきゃじゃね?」
「えー、もお?」
「もぉ外暗いよ」
遅くなると
陽介が迎えに来る
GPSがついてるスマホは
いつも友達に預けてユーヤと会ってた
陽介にはそれがバレてる
「帰りたくないな…」
ユーヤとのデートは
いまだ叶ってない
ユーヤはもぉ忘れてるかな
ユーヤはもぉ私のこと好きじゃないかな
春になったらユーヤはいなくなる
海外に行っちゃう
私も一緒に行きたいな
夏休みにコンビニでバイトを始めたのは
そんな気持ちもあってだった
両親と陽介には社会勉強って言ってある
なに不自由なく生きてきた
両親のおかげで
家に頼らず
ひとりで生きてるユーヤに惹かれる
ユーヤはきっと
私なんかいなくても生きていける
私はユーヤがいなくなったら…
「レーニャ、それ食べたら帰りなよ」
「ヤダ…」
ユーヤが私の手にある焼き芋を
ひとくち食べた
「あ!ユーヤ食べた!」
ユーヤがいなくなったら
ヤダ…