「お嬢さんを俺にください!」

駅まで向かう道

木枯しが寒い



「寒!」



ユーヤが首を竦めて
ジャケットのポケットに手を入れた



「私、ひとりで帰れるよ」



春になったらユーヤはもぉいないんだ



「なんで?
いつも送ってるじゃん」



ホントはユーヤと歩く駅までの道が嬉しい



「うん…
でも、寒いし…」



ユーヤはもぉ
好きとも言ってくれなくなったけど
来るなとも言わない



「うん、レーニャがいない帰り道は
もっと寒いから走って帰ってるけど」



ユーヤが足を止めた



ん…?



なに?



ドキン…



< 180 / 243 >

この作品をシェア

pagetop