「お嬢さんを俺にください!」
駅まで向かう道
木枯しが寒い
「寒!」
ユーヤが首を竦めて
ジャケットのポケットに手を入れた
「私、ひとりで帰れるよ」
春になったらユーヤはもぉいないんだ
「なんで?
いつも送ってるじゃん」
ホントはユーヤと歩く駅までの道が嬉しい
「うん…
でも、寒いし…」
ユーヤはもぉ
好きとも言ってくれなくなったけど
来るなとも言わない
「うん、レーニャがいない帰り道は
もっと寒いから走って帰ってるけど」
ユーヤが足を止めた
ん…?
なに?
ドキン…