「お嬢さんを俺にください!」

ユーヤは足を止めて
通りにある掲示板を見てた


なんだ
何か少し期待した



「ユーヤ、どーしたの?」



不動産屋さんの掲示板だった



「昨日、大家さんに言われたんだけど
あのアパートさ、春に壊すらしい…
マンションが建つんだって」



「へー!すごい!
マンション?」



「うん、大家さんの家もなくなるって」



「え!大家さんどーするの?」



「まだ元気そうだけど、施設に入るって」



「施設?寂しいな…」



「うん、俺も寂しい」



「ユーヤは、どーなるの?」



「急だけど年内に出てほしいって言われて…」



「年内…って、もぉすぐだよ」



「うん…
だから引っ越さないとなんだけど
あんなに安いとこないんだよね」



ユーヤは海外に行くためにバイトしてた

そのお金をここで使うのは…



「ユーヤ、私がバイトしたお金使って!
春までの2、3ヶ月ならなんとかなるかも」



「は?レーニャなに言ってんの?
レーニャが働いた金なんだから
レーニャが使えよ」



「うん、私のお金なんだから自由でしょ」



願っても
ユーヤと一緒に海外になんて行けないし…


行きたいけど
行けないのわかってた


それならユーヤに使ってほしい



私は陽介と結婚するんだ


そしたら貯めたお金は
もぉいらない



「レーニャには頼らないから大丈夫だよ」



ユーヤにそう言われて
寂しかった



ユーヤの夢
手伝いたかった



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