「お嬢さんを俺にください!」
ワインを飲んで車の運転ができない陽介を
ホテルに置いて来た
心臓が変にバクバクいってた
タクシーに乗って目的地を告げたら
少し落ち着いた
好みじゃない洋服を
自分で選んだマフラーで隠した
バッグから鏡を取り出して
濃いめのメイクを拭いた
リップの色が落ちきらなくて
少しだけ唇に残る
微かにする好きな匂いが
さっきの陽介の香水とワインの匂いで消される
「う…」
「お客さん、大丈夫?
お酒飲み過ぎちゃった?」
「大丈夫です
まだ未成年なのでお酒は飲んでませんから」
タクシーの運転手さんでも
私のこと心配してくれるのに
陽介は私を心配する様子もなかった