「お嬢さんを俺にください!」
晴れ着で陽介と初詣に行った
車でユーヤのバイトしてるスタンドを通った
ユーヤの姿はなかった
「優里愛、さっきから落ち着きがないね?
どーかした?」
「んーん…何も…」
初詣の人混みにユーヤの姿を探す
こんなに人がいたら見つけられる訳がない
でもこんなに人がいるなら
もしかしたらいるかもしれない
ユーヤに似た背格好の人にすれ違うたび
ドキドキした
ユーヤと同じ香水に反応してしまう
「優里愛、真っ直ぐ歩かないと迷子になるよ」
「うん、大丈夫…
迷子になったらタクシーで帰るよ」
「フ…それ毎年恒例にするのやめてくれる?」
陽介は笑ったけど
笑いごとじゃない
去年は人混みに酔ってる私に
陽介が気付かないで先に行っちゃって
私が迷子になった形になった
仕方なくタクシーでひとりで帰った
あの時も逃げたかった
陽介から