「お嬢さんを俺にください!」

本当に迷惑でしかない



「ごめん、ユーヤ…
私、ここにユーヤいるって聞いて…
勝手に来たらダメかな…って
帰ろうとしたんだけど…」



自分の気持ちで来てしまった

ユーヤのこと考えてない



ユーヤは
もぉ私に会いたくなかったかもしれないのに



「大丈夫だった?
怖かっただろ」



怒らないの?



「うん、大丈夫」



「腕、また赤くなったね」



「大丈夫、私が悪いし…」



「あの人は?一緒に来たんじゃないの?」



あの人?

陽介?



「うん、一緒だったけど…逸れた」



「すごい人だもんな
あ、着物、汚れなかった?」



「うん、大丈夫だと思う」



ユーヤが私を一周回って見た



「スゲー
ホントにお姫様みてー
スゲー、似合ってるよ
レーニャはやっぱり、お姫様なんだよ」



恥ずかしくなった



お姫様なんかじゃない

本当はこんな着物すぐ脱ぎたい



「ユーヤ、お店大丈夫?
ごめんね、邪魔して…」



「うん、ちょうど交代
早朝からでキツかったー」



「おつかれさま」



「どーする?あの人に迎え来てもらう?」



「スマホ持ってない」



「相変わらず持ってねんだ
なんのためのスマホだよ
俺の使う?今、持ってくる」



「番号わかんない」



「じゃあ、家の人か、タクシーか…」



「ユーヤと帰りたい」



「送って行ってもいいけど
その格好で歩けんの?」



「ユーヤと…
ユーヤのアパートに帰りたい」



またワガママを言ってしまった


ユーヤが困った顔をした



「待ってて…
スマホ持ってくる」



ユーヤは急いで店の中に入って行った



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