「お嬢さんを俺にください!」

冬休みが終わったら
レーニャは家に帰る



春休みが終わったら
俺たちは高校を卒業する

そしたら俺は?



そしたらレーニャは
あの人と結婚するんだろ?



大家さんから貰ったソファー

レーニャが眠そうに俺に寄り掛かる



「今日も楽しかった」



レーニャと一緒なら
毎日楽しいのに…



「うん…
レーニャ、そろそろ寝る?」



寝る時も起きた時も
レーニャがすぐ近くにいる



「んー…
ユーヤ、あのね
ユーヤに謝らないといけないことがある」



「え?なに?」



「いっぱいある」



「いっぱい?」



「うん、謝るって言っても
ユーヤは許してくれるかわからないけど…」



「なに?」



レーニャが真剣で
怖くなる



「ユーヤの前のアパート
マンションにするっていう話
陽介の友達の会社だったの」



なんだ
そんなこと?



「へー…それは偶然だね」



「偶然じゃなくて…
陽介が友達に土地を紹介したの
私がユーヤのアパートに通ってたの知って…
だから、ごめんなさい」



レーニャといると俺は幸せだけど
嫌な思いをしてる人がいるのは事実


俺があのアパートに住んでなかったら
大家さんもまだ施設に入ることもなかった


そう考えると複雑だ



「別にレーニャのせいじゃないよ
このアパートの方が
ボロいけど学校とかバイト先近いし」



「私がユーヤといると
ユーヤのプラスにならないのわかってるのに…
なのに、またユーヤと会いたいと思った
ここに来てしまった
それも、自分勝手でごめんなさい」



それは俺も同じで…

俺達は一緒にいても
先がないのかもしれないけど

会いたいと思ってしまう



「レーニャが俺を選んでくれたのは
正直嬉しいし
俺もレーニャと一緒にいたいと思ってるよ」



迷惑なんて思ったことない

たぶんレーニャに何されても
そんなこと思わない


一緒にいたいのに
最善の答えが出ない



「私もバイトして
いつになるかわからないけど
ユーヤがいる国に行きたいな…」



「レーニャが?
うん、来てくれたら嬉しいけど…」



そんなこと許されるわけないのに


旅行とか?
まさか新婚旅行?



「じゃあ、私もバイト頑張るね!
誰にも邪魔されないところまで
追い掛けて行きたいな…」



レーニャは本気でそう思ってるのかな?


レーニャはそうしたくても
レーニャの周りの人はそれを許さないだろ



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