「お嬢さんを俺にください!」
嫌々レーニャは帰る準備をした
やっとレーニャと気持ちが通じた
でも、このままじゃ…
誰も幸せにならない
「レーニャ、忘れ物ない?」
「うん…」
「着物、ここ入れたから俺持つ」
「ホントに帰らなきゃダメ?」
「うん…帰ろう
レーニャ、上着それでいい?
寒くない?」
「…帰りたくない」
嫌がるレーニャとアパートを出た
「レーニャ…行こう」
重い足取りのレーニャの手を引いた
まだドクドクいってる俺の心臓
なんとなく感触を記憶してる唇
「ユーヤ、また来てもいい?」
「どーかな…」
レーニャの家族は
それを許してくれるかな?
今度こそ
もぉ会えないかもしれない
「ユーヤ…
やっぱり、私のこと好きじゃなかった?」
レーニャの不安そうな声が
少し後ろから聞こえる
視線を落としてレーニャを見たら
泣きそうな顔をしていた
その顔を見て
また好きだと思った
愛おしい
繋いでた手に力を込めた
「好きだよ、レーニャ
…
やっぱり、好きだよ
…
スゲー好き」
レーニャの目を見て
気持ちを込めて言った
「じゃあ…なんで?」
好きだから一緒にいたい
好きなのに、なんで?
俺とレーニャは
好きだけじゃ一緒にいれない
レーニャには婚約者がいる
「俺、レーニャのこと真剣に好きなんだ
だから…」
「だから…?」
「だから…帰ろう」
今言えることは
今できることは
それだけ