「お嬢さんを俺にください!」

ソファーが大きすぎるのか
レーニャとの間に変な距離がある



俺がレーニャを突き放したからだ



「お飲み物、なんに致しますか?」



お手伝いさんが聞いてくれた



コーラ…なんてあるはずないし
きっと喉を通らない



「あの…お構いなく…」



「私、コーラ!
ユーヤにも同じ物を」



レーニャが隣で言った



「かしこまりました」



え、コーラあんの?



間もなくコーラとグラスが
俺の前に置かれた



高そうなグラス
お金持ちってコーラもグラスに注ぐんだ

でもコーラは普通のコーラ
俺がいつも飲んでるコーラ



プシュ…



レーニャがコーラの栓をあけて
グラスに注がずそのまま飲んだ



「ユーヤも飲みなよ
ユーヤの味…」



ふたりになったリビングに
レーニャの声が震えて聞こえた



レーニャの目は潤んでた



炭酸、キツかった?



違う



「この味も、もぉ忘れるね…

私の知らないこと
いっぱい知ってるユーヤと一緒にいると
すごく、楽しかった

私と違って
自分で生きてるユーヤを尊敬した

夢のあるユーヤが羨ましかった

ユーヤが好きって言ってくれて
すごく、嬉しかった

私もユーヤが好きだった

初めて、人を好きになった

ハハ…忘れられるかな…
ユーヤのこと好きだったこと

たぶん、忘れられない

きっと、もぉ人を好きにならない

ありがと
いろんな気持ち、教えてくれて…」



レーニャは一口飲んだコーラに蓋をした



< 232 / 243 >

この作品をシェア

pagetop