「お嬢さんを俺にください!」
ソファーが大きすぎるのか
レーニャとの間に変な距離がある
俺がレーニャを突き放したからだ
「お飲み物、なんに致しますか?」
お手伝いさんが聞いてくれた
コーラ…なんてあるはずないし
きっと喉を通らない
「あの…お構いなく…」
「私、コーラ!
ユーヤにも同じ物を」
レーニャが隣で言った
「かしこまりました」
え、コーラあんの?
間もなくコーラとグラスが
俺の前に置かれた
高そうなグラス
お金持ちってコーラもグラスに注ぐんだ
でもコーラは普通のコーラ
俺がいつも飲んでるコーラ
プシュ…
レーニャがコーラの栓をあけて
グラスに注がずそのまま飲んだ
「ユーヤも飲みなよ
ユーヤの味…」
ふたりになったリビングに
レーニャの声が震えて聞こえた
レーニャの目は潤んでた
炭酸、キツかった?
違う
「この味も、もぉ忘れるね…
…
私の知らないこと
いっぱい知ってるユーヤと一緒にいると
すごく、楽しかった
…
私と違って
自分で生きてるユーヤを尊敬した
…
夢のあるユーヤが羨ましかった
…
ユーヤが好きって言ってくれて
すごく、嬉しかった
…
私もユーヤが好きだった
…
初めて、人を好きになった
…
ハハ…忘れられるかな…
ユーヤのこと好きだったこと
…
たぶん、忘れられない
…
きっと、もぉ人を好きにならない
…
ありがと
いろんな気持ち、教えてくれて…」
レーニャは一口飲んだコーラに蓋をした