「お嬢さんを俺にください!」
間もなく
レーニャのお父さんが帰ってきた
「はじめまして
優里愛の父です
優里愛が世話になったことは
とても感謝してます
この度も、優里愛が迷惑掛けたようで…
妻から聞きました」
「そんなことはありません
俺が、悪いです
みなさんにご心配お掛けして
申し訳ありませんでした」
誘拐は未遂に終わった
最初からそのつもりだったけど
「ユーヤは悪くない!
私が悪いの」
まだ俺を庇ってくれるレーニャ
「無事だったわけだし
問題ない
さあ、座って…」
俺の父親と違って紳士的な人
「ユーヤ君は卒業したら大学生かな?」
「いや…あの…」
大切な娘を預ける人は
もちろん大卒じゃなきゃ
そりゃそうだろ
俺はそこもクリアできてない
「ユーヤは卒業したら海外に行くの
そのためにバイト頑張ってて…」
何も言えない俺の代わりに
レーニャが説明してくれる
海外に行くのもまだハッキリしてるわけじゃない
だから言えない
ホントに情けない
「留学か…それはすごい
応援するよ
優里愛を助けてくれたお礼をまだしてなかった
できる限りの援助はする
約束するよ
困ってることはある?
なんでも言いなさい」
困ってること…
援助…
だから、もぉ優里愛と会わないでくれ
俺にはそぉ聞こえた
困ってること
なんでも…
「キミは優里愛の命の恩人だ
ユーヤ君の力になりたいと思ってる
遠慮なく言ってくれてかまわないよ」
夢とか
お金とか
レーニャを助けたお礼が欲しいとも思わない
なんでも言っていいなら…
言ったら叶うなら…
ひとつだけある
俺の欲しいもの
ひとつしかない
「レーニャを…
…
優里愛さんを…
…
お嬢さんを…俺にください!」