「お嬢さんを俺にください!」

「レーニャ…
コレ、デートっていうの?
ただ俺のアパート来てカップラーメン食べて
普通に日常生活じゃね?」



「フー…フー…フー…

ユーヤとつきあってから…
はひめて、きたよ

これは、てーと…でーとなの

ゲホ…ゲホ…」



カップラーメンをすすりながら
レーニャが言った



「食べるか喋るかどっちかにしたら?」



レーニャに水を差し出した



「ケホ…うん、ごめん…」



可愛い

こんな可愛い子が俺のカノジョです



「レーニャ、楽しい?」



「うん、楽しいよ
でも、ユーヤもうすぐいなくなっちゃうね
しばらく遠距離恋愛だね」



俺が海外に行けば、そうなるね



「あー…あのさ…
俺が海外に行く話なんだけど…

いつか行けたらいいな…って思ってるけど
今すぐとかじゃなくても…」



実際レーニャと離れるって考えたら
俺が寂しかった


あの時と状況変わってるし



「それは、お金まだ貯まらないから?」



「それもあるけど…
海外より…夢より…
大切なものがある」



なんて言うと
カッコつけてるぽいけど…



最近、真剣に考えてたこと



せっかくレーニャと付き合えることになって

せっかくもらったチャンス



少し前までは考えられなかった

諦めるしかないと思ってたから



「大切なもの?」



「うん

中途半端な気持ちじゃなくて真剣に
俺、卒業したらとにかく働くから…
なんでもするから…

レーニャと一緒にいたい

レーニャと一緒に暮らしたい」



「…」



ア、レ…?



レーニャは喜んでくれると思ったのに
何も言わなかった



引くよね、急に

もしかしてレーニャは
そんな気で俺と付き合ってなかったり?



「ごめん…
俺だけなんか、勝手に考えてて…

でも俺、本気で働くし
絶対、レーニャに不自由ないように…」



「勝手に考えないでよ

ユーヤひとりで、勝手に考えないで」



「だよね…ごめん…」



いきなり一緒に住むとか
まずレーニャの両親も許さないだろ



「私だって…
ユーヤと一緒にいたかったよ
ユーヤと一緒に住んだら楽しそう!」



ア、え…?



レーニャの目を見たらキラキラしてた



「え…マジ…?」



「でも…
いいの?ユーヤの夢」



「うん
海外に行くよりも
今はレーニャと一緒にいたい

レーニャの両親が許してくれてから
ずっと考えてたんだ

本当に中途半端な気持ちじゃないし
レーニャのお父さんと約束したとおり
絶対レーニャのこと毎日笑顔にするから…」



「うん
私も頑張って働くね
それでユーヤの夢も叶えようね!
誰にも邪魔されないところ行こう」



はたしてそれで
レーニャは幸せなのか不安になる



「レーニャは、それで幸せ?」



「うん、幸せだよ
あ!私の夢ね、今日ひとつ叶ったけど
もうひとつあるの」



「なに?」



ちなみに今日叶った夢は
俺とデートすること



「もうひとつは、鈴木優里愛」



「え?」



「まだ気が早いけど
鈴木優里愛になりたい」



宝城→鈴木



「一気に庶民感出るけど、大丈夫?」



「そお?
憧れの鈴木だよ」



レーニャ、サラッと言ってるけど
それって結婚だよね?


夢が
初デートからの結婚って…



「お嬢さんを俺にください」って言った時点で
俺もその覚悟だったけど



「あ、レーニャ、ラーメンのびてない?」



「あー!」



コレ
カップラーメン食べながらする話じゃなくね?



「あとさ、レーニャ
そーゆーの、俺から言わせて…
その時が来たら、俺からちゃんと言うから…」



レーニャに先に言われるなんて
ダサいだろ



「うん、楽しみにしてるね♡
バラの花束とかいらないからね」



「そーゆーの俺できない」



「だから、ユーヤ好き♡」



「レーニャの好きポイントよくわかんね」



「ユーヤが好きってこと!」



雪の日に拾ったお姫様と俺の夢は
未来に続く



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