「お嬢さんを俺にください!」

受付で聞いた病室の前に
レーニャの名前が書いてあった



【宝城 優里愛】



俺の知らないレーニャ

だいたいレーニャってふざけてるだろ

冗談にしてもおかしい

嘘ならもっとましな名前にしろ

揶揄われてたのか?俺



トントン…



病室のドアをノックする


緊張して握った掌に汗をかいた



「どーぞ…」



中からレーニャの声がした


久しぶりに聞くレーニャの声に
気持ちが高ぶる



ガラガラガラ…



ゆっくり開けたドアの向こう


ベッドの上にレーニャがいた



「レーニャ」



俺を見て
レーニャが戸惑ってるのがわかった


俺が想像してた顔はしてなかった


嬉しそうには感じなかった



「………あ…」



俺の名前は呼んでくれなかった

もぉ忘れたとか?



「あの…ごめん…急に来て…」



やっぱり来たらダメだった

すぐに悟った



「中に、どーぞ…」



よそよそしい



オレが知ってるレーニャじゃない



レーニャじゃないもんな

優里愛お嬢様



俺が想像してた再会とは
ぜんぜん違った


来なきゃよかった


後悔しながら病室に入った



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