「お嬢さんを俺にください!」
「優里愛!」
直後
レーニャを呼ぶ男性の声がした
背の高いモデルみたいな男性が
駆け寄ってきた
優里愛
レーニャの名前を知ってるってことは
レーニャの…
「優里愛、どーしたの?大丈夫?
無理したらダメだよ、病室戻ろう」
お兄さん?
それなら挨拶した方が…
「あの…はじめまして、俺…」
俺の顔を見て
ん?って顔をした男性に
「私を助けてくれた人」
レーニャが俺を紹介してくれたから
軽く会釈した
「優里愛がお世話になったようで
ありがとうございました」
「いや…別に俺は何も…」
で、この人は誰?
ふたりが並ぶと
映画のお姫様と王子様みたいだ
ここがお城のような錯覚さえ起こす
「優里愛の婚約者の滝川(たきがわ)と申します」
男性は自分でそう名乗った
婚約者?????
レーニャの顔を見たら
レーニャはうつむいた
「優里愛、病室戻ろうか…
明日、退院検査だし
また退院延びたら嫌でしょ」
「うん…」
滝川と名乗った男性が
レーニャの手を掴んだ
婚約者
婚約者
婚約者
頭の中をその単語がかけ巡る
え、誰の?
「ユーヤ、今日は来てくれてありがとう」
「うん…じゃあ、俺、行くから…
…
元気で…レーニャ」