「お嬢さんを俺にください!」
あの雪の日
雪の中で『幸福荘』っていう門が見えて
その前の記憶が私にはなくなった
どこから来て
自分が誰なのか
なんでそこまで来たのか
雪の中、薄れていく記憶
そこにたまたま帰って来たユーヤに
私は助けられた
ユーヤは私の命の恩人
ユーヤと出会わなかったら
私は今ここにいないかもしれない
「優里愛が好きなミルクプリン買ってきたよ」
「へー…私、好きだったんだ…」
「好きだったよ
ココナッツプリンと
コーヒープリンもあるんだけど
優里愛はミルクプリンが1番好きだよね」
「そーなんだ…
陽介、カップラーメン食べたいな
…
ユーヤは
ガーリックバター味噌が1番て言うんだけど
私はクラムチャウダー味が1番オススメ!」
「優里愛
まだ体調も完全に戻ってないんだから
栄養のあるもの食べないと…
…
クラムチャウダーが食べたいなら
美味しいお店知ってるから
退院したら連れて行ってあげるよ」
体調なんて悪くない
「ミルクプリン食べてもいい?」
「どーぞ…」
「いただきます」
食べても思い出せない
私はコレが好きだったんだ
「美味しいでしょ」
「うん…」
美味しいけど
すごく好きとかは思わない
ユーヤと食べたカップラーメンの方が
ずっと美味しかった