「お嬢さんを俺にください!」

もぉユーヤに会えないと思ってたのに
病院に来てくれた



来てくれるとは思ってなくて
また会えるとは思ってなくて
ビックリしすぎてうまく話せなかった



ホントは嬉しかった



それを伝えたくて
もっとユーヤと話したくて
ユーヤを追い掛けた



そしたら陽介に見つかって
病室に連れ戻された



私が高校を卒業したら
この人と結婚する



彼は父の会社で働いていて
とても仕事ができて父のお気に入り



「ちょっと想像と違って驚いたな…」



「え…?」



「優里愛がお世話になった人
誠実そうで真面目な男子高校生だと思ってた」



「ユーヤは誠実だよ
すごく優しいし!」



「優里愛、気持ちはわかるよ
あーゆー人がちょっと優しくしてくれると
すごくいい人みたいに感じるんだよね」



なに?その言い方



「あーゆー人、って?」



「品のないピアスにダラダラした格好
髪もちゃんと整えてないし
ギターみたいの背負ってたけど
バンドか何かしてるの?

狭いアパートで1ヶ月も一緒に生活して
本当に何かされなかった?

お義父さん達がいなくてよかったよ
余計な心配かけるからね

もぉ会わない方がいい
堺さんに頼んで
彼を優里愛に近寄らせないようにしておくよ」



陽介、ホントに言ってる?



「どーして…
どーして、そんなこと言うの?
どーして、そんなことするの?

ユーヤといた時、楽しかった
ユーヤは私を大切にしてくれた!」



「優里愛、どーしたの?
帰ってきてから、ちょっとおかしいよ

彼に洗脳されたの?
まぁ、そのうち記憶からなくなるだろう

ミルクプリン残ってるよ
いつもは2個食べるのに…」



おかしいのは、陽介でしょ



「いらない
もぉ、食べない」



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