「お嬢さんを俺にください!」

「優里愛、それ誰に買うの?
優里愛の彼って、ピアスしてた?」



「あー…してなかった」



ジュエリーショップで
ユーヤがしてたピアスに似てたのがあって
無意識にずっと見てた



「優里愛、まだ記憶全部戻ってないの?
無理しないでね」



「うん…
私って、彼と仲良かった?」



彼の好みも彼の趣味も
どんな話をしてたのかも

ぜんぜん思い出せない



「え、優里愛の彼?
学校帰りに何度か会って
挨拶した程度だったけど
長身でスタイルよくてイケメンで…
あんまり優里愛から話さなかったから
私も聞かなかったけど
結婚するんだから
もちろん好きなのかと思ってたけど…」



「やっぱり結婚するんだ…私達」



「え!違うの?」



「んーん…
違わないと思うよ」



お父さんもお母さんもそう言ってるし



「ハハ…ヤダ!優里愛のろけ?
羨ましいな〜♡
私も卒業したら養ってもらいたいよ」



結婚したら
私は一生あの人と一緒にいるんだね


胸が高鳴らないのは
なんでかな?


ちゃんと記憶が戻ったら
私はあの人を愛せるのかな?



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