「お嬢さんを俺にください!」

「あの…ありがとうございました」



声がして振り返ったら
さっきのドレスじゃなくて

さっきのバスタオル巻いた女性が立ってた



え…



今度は俺が凍りつく



「あ!何か着るもの!今出すから…」



ドレス濡れてたじゃん

着るものないわけじゃん

気がきかねーな、俺



バスタオルに包まってる女性に
適当な服を探した


コレ、洗ってあるよな?

臭くねーよな?

デカいかな?

普通にデカい


でもコレしかない

仕方ない



「とりあえず、コレ…」



見てないっス

ぜんぜん見てないんで



見てないふりをして服を渡した



「ありがとうございます」



え、今笑った?


見てんじゃん!俺



俺が慌ててるから笑われたんだろ



慌てるだろ

だって裸にバスタオルって…



俺が着るもの出してなかったからだけど

こんなことってないし

普通ないし

絶対ない



雪の日にアパートの前で
綺麗なオネエさん拾うことなんて

ないだろ



バスタオルから出た肌
白くてめっちゃ綺麗だった



しっかり見てました

スミマセン



ちょっと笑った顔
可愛かった

声も



とりあえず
生きててよかった

事件にならなくてよかった



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