硝子の枕②/揺れの最中もキミを抱く~~💛【エロティックブラックの読切り第2話です♪】

その3

💖💖💖


「そうよね…、私達、今夜トコトン愛し合ったら明日、栃木行って滝つぼに飛び込んで心中するんですものね。冷静に考えれば、コワいものなんてある訳ないし…。でも、ありがとう…。三村さんがあんな大きな地震でも私を離さないでいてくれたから、勇気がでたわ」

「ふふ…、そんな大そうな事じゃないよ。端にイキそうだったから。要するに、エロな下心だったんだ。そんなポンコツ野郎さ、所詮オレなんて…」

リッチネル405号室のベッドの上で、すでに服をフルに纏って並んで座っていたそんな三村が自虐気味ため息を吐くと、アキナはカレの顔を下から覗き込むように、無理やりな笑顔でこう言った。

「私も感じてた。大枚はたいてココに来て、地震なんかで私たちの一世一代のエッチを邪魔されてたまるかって…。でもコワかったから…。人は一人じゃなければ救われるんだって、エッチの最中に悟っちゃったわよ。アリガト…」

アキナはそのままダラッと、自分より背の低い年下の三村にカラダをもたれた…。

そして…、それを受けた三村ユージは、彼女の左腕手首に自分の右手首を寄せた。
二人の手首にはお揃いのブレスレットが静かにぶら下がっていた。
白と水色のコントラストがひと目に映る、約2センチのネオデザインキャラクター、てるてるペアがまるで睨めっこだ。



💖💖💖


コロナ、リアルすぎな戦争、巨大地震、目を疑う物価高…。
人一人…、等身大のあたり前も砂を噛むような毎日に呑み込まれていく不条理…。
そんな土壌の延長線上での、それぞれの貧困に蝕まれた苦悩と行き詰まり…。
結局、死という手招きに負けかけた多くの人々…。



そんな中、三村ユージと三鷹アキナはSNSで出会い、約半年の歳月を経て共にあの世への旅立ちを決意した。
最初に会った翌日、栃木で心中しようと…。
でも、その前夜には飛び切り上等な空間で思いっきりしてからと‼

無論、事前にラインで顔見世や会話は済ませていたので、カンペキ初対面ではなかった。
んで、これも事前に、お互いあの世でもずっと一緒の”証グッズ”のとして、てるてるペアのブレスレット(相手のイニシャル入り)をともに買い求め、リッチネルの405号室でエッチ前にプレゼント交換し合っていたのだ。

そのてるてるペアのキャッチはというと…。

”負けても忘れろ、そんな今日は。明日かあさっては晴れる。どこか勝ちな気分の雲が浮かんだ澄んだ空を連れて…”

その翌日…。
一緒に絶望の地から消える約束を交わしたこの二人の結局は定かではない。

でも…。
その朝、リッチネル405号室のベッドには、てるてるボウズのブレスレッドが二つ置かれていた。
”リッチネル…、また来ますね❣”
というメモ紙を添えて…。




FIN







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