偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
「……す、秀、苦しい」
「あっ、悪い。ずっと好きだった恋に、念願叶ってやっと気持ち伝えられて、好きだって言ってもらえて。感極まって、つい」
ーー『念願叶って』って、そんな大袈裟な。
そう思いながらも、心底嬉しそうに、瞳をキラキラさせて少年のような無邪気な笑顔を綻ばせる秀の姿に、恋の身も心も惹きつけられる。
さっきから頬は緩んだままだし、胸はキュンキュン鳴りっぱなしだ。
今この瞬間を目に焼き付けておきたくて、秀を見つめたままでいた。
不意に会話が途切れて、何だかくすぐったいような、照れくさいような気持ちになってくる。
そんなタイミングで、秀が何かを思い出したようにハッとした表情になった。
かと思えば、すぐ近くに置いてあったブーケを手にした秀がふたりの間にそれを掲げてくる。
そうしてその中から小さなベルベット地のジュエリーケースを取り出し開くと、煌めくダイアモンドの粒がいくつも鏤められた上品なシルバーリングが姿を現す。
目にした瞬間、恋の胸はドクンと脈打った。
ーーうわー凄い。なんだか夢みたい。
感動しきりの恋の思考に、秀のやけに不安そうな声が割り込んでくる。
「恋、受け取ってほしい」
たった今、想いを伝えたばかりだというのに、どこかまだ信じ切れていないような、自信なさげな素振りを見せる秀への愛おしさが込み上げる。