偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
~Epilogue~
秀は事故で母親を失ったとき、母を救えなかった父の無力さに失望し心を閉ざしてしまった。
物心ついた頃からあの日まで、秀は父を尊敬し、父と同じ医者になることを夢見ていただけにショックが大きかったせいだ。
元々人見知りだというのもあって、それ以来ますます周囲と距離を置くようになっていった。
だが秀は、恋に出会ったことで救われた。
その頃はまだ恋に対する自分の感情が何かもわからずにいたが。あのとき、秀が恋をかばって刺されてしまったことで、恋がPTSDになってしまい、男性恐怖症も併発して、それきり恋とは会えなくなってしまった。
まだ中学生の秀にはどうすることもできないでいた。
おかげで、母を救えなかった父の気持ちを知ることとなって、今の医療では無理でもいつか救えるようになるかもしれない、そう思えるようになれたから、こうして今、父と同じ脳外科医をしている。
そういう意味でも、今の自分があるのは、恋の存在があったからこそだ。