偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました

 ーーやっとだ。やっと恋と心から結ばれて正式な夫婦になることができた。もう嬉しくて嬉しくてどうしようもない。

 興奮しすぎて一睡もできなかったほどだ。

 秀は自分の腕の中で眠りこけている、愛おしくてどうしようもない恋の無防備な寝顔を嬉しそうに見つめては、ほんのりと桃色に色づいた柔肌に口づけを落とし続けている。

 ーーもうこのままずっと眠っていてくれたらいいのに。それが無理なら監禁でもしておくか。

 なんてことを案外本気で思いつつ、甘やかなキスを降らせる合間に、柔らかな髪を撫でるように梳いてみたり、やりたい放題だった。

 そうとも知らずに恋は幸せそうに熟睡していて、時折、寝ぼけた恋が舌足らずの可愛らしい声で「す、ぐる」などと呼ぶものだから、ようやく鎮まりかけていた秀の雄の本能がみるみる漲ってしまう。

 ーーヤバい。やっとおさまってきたのに、また勃ってきた。

 あんなにも濃厚でかつ長い時間、恋のことを独り占めしていたというのに……。

 未だ離れるのが嫌で、恋のナカで静かに息を潜めていた欲の塊が最大限に膨張し、眠ったままなのをいいことに、なかなか萎えてくれない自身の欲望をなんとか鎮めるためだなどと言い訳をしながら、愛してやまない恋の身体をゆるゆると揺さぶりっては、甘味な快楽の狭間でいつまでもいつまでも揺蕩い続けた。

 いつしか夜も明け、眩い陽光が差し込む豪奢なスイートルームにはーー

「恋が可愛すぎてもう我慢の限界だ。悪いが付き合ってくれないか?」
「ええッ!? ウソでしょ? 今起きたばっかーーあっ、やんッ! すぐ、るっ、ひゃ、ぁああん!」

 寝起きで襲われた恋の悲鳴じみた艶めかしい声と興奮しきり野獣と化した秀の、咆哮のような呻き声の合間に水音が絶えず響き渡っていた。

 秀は恋のことを愛しながら、妻のことをどれほど好きかを再確認し、恋は、秀から深くて重い愛を絶えることなく身体に注ぎ込まれ、夫の愛がどれほどのものであるかを身をもって実感させられたのだった。

 どうやらふたりにとっての初夜はまだまだ明けることはないようだーー。


~END~

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