偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
女装男子とまさかの熱夜!?
ーーなんだかふわふわして気持ちいい。
ほろ酔い気分の心地よさの中で、恋がそんなことを思っていられたのははじめのうちだけだった。
これまで恋愛ごとから逃げてきたのだから、当然と言えば当然だ。
なにせキスの経験などこれっぽっちもないのだから。
おそらく出会ってからこれまでの恋の様子から、カレンにはそんなことなどお見通しだったに違いない。
こういうことに不慣れな恋に合わせるように、とても優しくリードしてくれていた。
拭いきれない不安と湧き立つ緊張感のせいで強張ってしまっている恋の心と身体を解すようにして、幾度も幾度も優しく唇の表面を啄み続ける。
いつしか恋の身体からはくたりと力が抜けてしまっていた。
やがて微かに緩んだ唇のあわいから、するりと滑り込むようにして、カレンの熱くねっとりとした舌が咥内に割り入ってきて、歯列をゆっくりなぞりはじめる。
「あっ……ん、ふぅ」
途端に、恋の背筋にはゾクゾクッと粟立つような感覚が駆け巡る。
それをすかさず感じ取ったらしいカレンの女性のようにしなやかな、それでいて男性らしい大きな手が官能的な手つきで優しく、背中を上下に撫でさする。