偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
カレンの本当の名前も、何者かさえも知らないけれど、他の誰にも話せないようなことでも何でも話せる、気の置けない親友だったのだ。
それがこんなふうに酔った勢いで、おかしなことになってしまっている。
そのことに、酔っている恋でさえも少なからず戸惑っているし、動揺だってしている。
これからこの関係がどうなってしまうのだろうか、という不安だってある。
こんなことになってしまったということは、多少は酔っているのだろうが、酒には強いと豪語していたカレンなら、尚更に違いない。
それくらいのことを思考するだけの機能が僅かにでも稼働しているというのに、理性がコントロールできないのはどうしてなのだろう。
ーーやっぱり相当酔ってるんだろうなぁ。だったら酔った勢いに任せて突っ走ってやろう。そうしたら案外呆気なく何もかもが解消されるかもしれない。後のことは素面の自分に任せる。
深く熟考することを放棄した恋は、自身のなかの本能と欲望の赴くままに行動に移してしまうのだった。
「やめちゃヤダ。私の知らないカレンのこと教えて。お願い」
おそらくこれまで無意識のうちにカレンに抱いてしまっていた想いの現れだったのだろう。