偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
赤子の頃ならあるかもしれないが、生まれてこの方、口に出すのもはばかられるような恥ずかしいところを誰かに見られたこともなければ、触れられたこともない。
ましてや誰かに舌を捩じ込まれることになろうとは、夢にも思っていなかったことだ。
いくら未経験で処女の恋にも、セックスの知識くらいはある。
けれど、まさか自分がそんな状況に置かれることになるなんて、あるはずないとさえ思っていた。
本来ならばあり得ないことだったのだ。
ーーやっぱりカレンは特別なんだ。
恋はぐったりと力の抜けきった身体を投げ出したまま、羞恥と快楽の大波にもまれ悶えに悶えながらも、頭の片隅でそのことを確信していた。
恋の潤みきった瞳の周りには性的な涙で溢れかえっていたはずが、胸の奥深くからじんわりと込み上げてくる喜悦を孕んだあたたかな雫が頬を伝い落ちてゆく。
カレンによって生まれて初めて味わわされる、この世のものとは思えぬほどの甘味な刺激の大きな波に呑み込まれ、どうにかこうにか保っていられた意識が混沌とし始める。
いつしか閉ざした瞼の裏では眩いばかりの閃光が弾け飛ぶ。
その瞬間、頬を流れ落ちてゆくあたたかな感触を感じたのを最後に、恋は意識を手放してしまう。
それは、心地いいぬくもりに優しくけれでもしっかりと、あたかもふわふわと柔らかな真綿で大事に包まれているような夢心地で、このまま昇天でもしてしまうかのような、そんな幸せな心地だった。