偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました

 心の中では大絶叫を繰り広げ、もうこれ以上紅くなりようがないほどに真っ赤に茹であがった恋は、今にも逆上せてしまいそうだ。

 脳内大パニックを巻き起こしている恋は、もはやどう対処していいかもわからず、真っ赤になったままあわあわすることしかできずにいる。

 そんな余裕の欠片もない恋の様子から、何かを察したらしいカレンから、なにやら盛大な溜息が垂れ流された。

 だが依然としてカレンに抱きつかれたままであるため、動こうにも動けない。

 そんなの当然だ。

 目を覚ましたと思ったら、親友であるはずのカレンがいて、お互い素っ裸で抱き合っているのだ。ちょっとでも動こうものなら、一緒にアレまで動いて、仲良くしましょうとばかりに、下腹部の辺りに、ひたひたと密着してくる。心なしか芯を持ったように、微かに硬度を増しているような気がする。

 ーーそんなの動けないに決まってる。

 これは一体どういう状況だというのだろうか。まったくもって理解が及ばない。

 茹で蛸状態で硬直したままの恋は、パニックを通り越して、もはやショート寸前だ。

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