偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
相も変わらず胡座をかいて面白くなさそうに、ぼやくカレンに構うことなく、恋はカレンの身体を押し倒す勢いで、ベタベタと身体を触りはじめる。
綺麗な顔から始まって、首筋に鎖骨、厚い胸板からいい感じに割れた腹筋というように、カレンの身体の表面を隈なく。
恋の突然の奇行に慄くような素振りを見せたカレンはひどく狼狽しているようだ。
「おっ、おい。何だよいきなり、やめろ。やめろって言ってるだろう? おいって」
恋の勢いに気圧され、そのままベッドに背中から倒れ込むかと思いきや。そこはやはり男。
非力である恋の身体を返り討ちにでもするように、恋は難なく組み敷かれてしまう。
「ーーキャッ!?」
途端に、カレンは息を吹き返したかのような、したり顔で恋のことを見下ろしている。
完全に形勢逆転だ。
それに、何だろう。カレンのこの嬉々とした表情は。非常に嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
ーー否、気のせいじゃない気がする。そういえば、昨夜も同じことがあったような……。
ここへきてようやく、恋の脳裏に昨夜のあれこれが走馬灯のように駆け巡る。
とはいえ、酔っていたのでまるっと全部ではない。
だが恋がとんでもない羞恥に苛まれるには、充分すぎるほど刺激的なものだった。