偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
勢いを削がれてしまった恋が羞恥に塗れていると、すべてを見透かしたような言葉が降ってくる。
「……なんだ、急に。真っ赤になって。もしかして、昨夜のことでも思い出して、俺のことを意識でもしてるのか?」
その声に弾かれるようにしてカレンを見遣ると、昨夜目の当たりにした妖艶な色香を放つ姿に魅入られたように身動きがとれなくなる。
恋は思わずゴクリと喉を鳴らしていた。
そこに、ゆっくりと鼻先すれすれまで顔を寄せてきたカレンから意味深な言葉が放たれる。
「俺ももうこれ以上自制できそうにないし、ちょうどいい。そんなにベタベタ触らなくても、確かめるいい方法がある」
「いい方法って……」
まるで悪魔の囁きのような甘やかな響きに操られるようにして、一言返すのが精一杯だ。
そんな恋のことを優しく包み込むようにして広い胸に抱き寄せた、カレンの甘やかな声音が耳朶を打つ。
「恋は、俺に何もかも委ねていればいい」
ほうっと魅入られてしまっていた恋は、僅かに身を起こし恋の顔を覗き込むようにして覆い被さってきた、カレンの柔らかな唇により唇を奪われていた。
ただ互いの柔らかな唇が触れあっているだけだというのに、何とも心地いい。
ーー昨夜と同じだ。繊細な砂糖菓子のように甘くて今にも蕩けてしまいそう。
恋がそんなことをぼんやり思っている合間にも、甘やかなキスは徐々に深まってゆく。