偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
カレンは多忙を極める脳外科医であるらしく、ホテルの最上階であるこのスートルームは仮住まいとして年間契約しているというのだから驚きだ。
さすがお医者様、至って普通の庶民である恋とは住む世界が違う。
カレンの生い立ちなど知らないが、威風堂々とした俺様口調や、どことなく品のある振る舞いからして、代々医者の家系だったりとかするのかもしれない。
だとしたら、生まれ育った環境も違えば、見た目だってこうも違うのだから、当然かもしれない。
恋はやけにすんなりと受け入れていた。
生涯自分とは関わることのない世界だと思っていたからこそだ。それなのに……。
「恋、俺と結婚してくれないか?」
未遂とはいえ、親友である女装男子のカレンと一夜を共にしてしまったうえに、まさか、いきなりプロポーズを申し込まれることになろうとはーー。