偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
声音も少々女性にしては低めかもしれない。
それでも美しさの指針であると言われている、黄金比率で造形されたのかと思うほど均整のとれた、華やかさのある小顔に見合った愛嬌のある可愛らしいものだ。
以前、女装は趣味だと言っていたし、おそらく地毛ではなくウィッグだとは思う。それでも艶めいた、ブラウンのゆるふわロングの綺麗な髪を無造作に下ろしただけだというのに、アンニュイな雰囲気が漂っている。
何といっても可愛らしい小顔がより一層引き立って見える。という何とも羨ましすぎる効果だ。
恋が唯一誇れることといえば、一度も染めたことがないのに、いい具合に茶髪だという点ぐらいだろうか。
だからといって、カレンを真似てミディアムの髪を伸ばそうなどという気など恋にはサラサラなかった。
カレンとは元が違いすぎるのだ。
どこにでもいるような、平凡な容姿の恋がどう足掻いたって足元にも及ばないだろう。
それは見かけに限ったことではない。服装にしたってそうだ。