偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました

女装男子の裏事情


 渋る恋のことをどうにかこうにか言いくるめて、諸々偽った上ではあるが、契約結婚の申し入れを受け入れてもらった。

 その翌日、仕事帰り。

 馴染みのBARであるCharmに呼び出されたカレンーー藤堂秀は、母方の従姉妹であり実家が経営する藤花《とうか》総合病院の同僚でもある、秋月文《あきずきあや》に弄られているところだ。

「あんたやっぱ腹黒いわ」
「元はと言えば、文が俺を唆したんだろうが」

 長い付き合いである文には恋のことも知られているからだ。

 一年前、恋と女装男子として再会したときのこともそうだが、子供の頃に恋と初めて言葉を交わした際のこともだ。

 そもそも恋と女装男子として再会することになったのは、この文のおかげである。

 恋とはいずれ運命的な出会いを果たすつもりだったのに、それをぶち壊しにしてくれた張本人だ。

 結果として、いい方に転がってくれたから良かったものの、一歩間違っていたら、女装趣味の変態で終わっていたに違いない。

 そうなっていたらと想像しただけでもゾッとする。

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