偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
どこからともなく、期待感のようなものまでが顔を出しムクムクと膨れ上がっていく。
彼の言葉は、親友である恋に対するものであって、それ以上の意味合いなんてないはずなのに。
知らず識らずのうちに、それ以上の何かがあるのではないかと期待してしまっている。
ーー私、どうしちゃったんだろう? この前からおかしい。
これまで男性恐怖症に思い悩んできた恋にとって、異性は避けるべき対象でしかなかった。
自身が抱いてしまっている妙な感情に混乱するばかりだ。
ーーも、もしかして、これが恋愛感情というものなんじゃ……。って、待って! カレンは親友である前に女装男子で、ずっと男性にしか興味がなかったんだよね。ゲイだと思い込んでたくらいだし。この前たまたま私に欲情したってだけなんだよね。そんなの勘違いかもしれないし。だったら、不毛な感情なんじゃ。
……駄目だ。考えれば考えるほど、こんがらがってくる。否、考えるだけ無駄な気がする。もう降参。参りました!
恋愛の経験など皆無だった彼女には、何となく想像はできても、未知の領域だ。
ましてや女装男子などという特殊な要素が孕んでいるのだから。そう簡単に理解が追いつくはずがない。
簡単に言えばキャパオーバー。