偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました

 その顔に嫌な予感を感じたときには、秀によって腰を浚うように抱き寄せられ、気づけばソファに腰を下ろした秀の膝上にちょこんと乗っけられていて。

 背後からお腹に腕を回してしっかりと抱きし締められてしまっていた。

「え? ちょっとっ」

 驚いた恋が慌てふためいている間にも、秀はいつものように恋の肩までのミディアムヘアに顔を埋め、匂いでも嗅いでいるのだろうか、鼻をスンスンし始める。

「ヤダ。何匂い嗅いでんのよッ。この変態。それに今仕事中なんですけどッ!」

 羞恥に堪えかねた恋が至極もっともなことを指摘したのに対し、秀は一瞬身体を強ばらせた。

 けれどすぐに悪びれる様子もなく、どこか嬉しそうな声音で、当然のことだとばかりに主張してくる。


「問題ない。俺もちょうど休憩時間だし。治療しながら疲れを癒やしてもらってるだけだから気にするな。それに恋に変態って言われるのも悪くないな。ゾクゾクする」 

 終いには変態発言まで繰り出してきた。


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