偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました

 だからこそ、そのたびに、秀のために頑張ろう。めげそうなとき、恋はそんな風に自分を鼓舞することができていた。

 正月と結婚式の前後の休みを確保するため、クリスマスも返上で仕事をこなしていたのだが。

 秀が用意してくれていたマカロンとノンアルコールのシャンパンでクリスマス気分を満喫することもできた。

 それだって、秀と出会った直後のクリスマスにいつものバーで、マスターがサービスに出してくれた際、クランベリーのマカロンを恋が大好物だと言っていたのを覚えてくれていたからだという。

 秀の用意してくれたマカロンを頬張りながら危うく泣いてしまいそうになるほど嬉しかった。

 そんな日々を重ねているうち年が明け、結婚式を一週間後に控えた今では、もう偽りだとか関係なく、ずっと秀の傍でいられるように、秀の結婚相手として少しでも相応しくなりたい。

 恋は心からそう思うまでになっている。

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