かくも激イカレな女たち
惨夜の一室より❼
麻衣


剣崎さんがテーブルに持ってきた”実弾”、2束だ

この前の話より多くなってるわ(笑)

でもアキラ、ギター代だけでということだ

まあ、この場の判断としては正解だよ

だけどさ、万事こんなじゃあなぁ…

おけいにも苦労かけるぞ、これからもずっと

もっとも、お似合のカップルかもな、あんたたち二人

ちょっとバカかよってとこも一緒だし

...


とにかく話は、まとまったということだ

剣崎さん、内心ホッとしてるだろう

そりゃあそうだよ、あそこまでブチまけちゃったんだし

外部の素人に、組の幹部が…

普通はあり得ないよな

一歩間違えば、破滅、ジエンドだし…、ハハハッ

なかなか刺激的だったでしょ、イカレた私の描いた”絵”は…

...


おけいには今日、私が行ってとりなしてくる

アキラの監禁はありのまま言うが…

アイツ、怒り狂うよな、ハハ…

泣き崩れたりとか、ショックでぶっ倒れるってのもアリかな

まあどっちにしても、現状でアイツに勝手な真似させない

こっちの思惑通り動いてもらう

...


さて、こうなるといよいよ消去法になってきた

で、もう単純明瞭って訳だ、残った流動要件は

同じこと、剣崎さんも考えてるだろう

それはそれぞれ、お互いの出方だってこと

矢島さんとはこの後、さっそく会って話すはずだ

2本の矢はいつでも放てる状態になる

後はタイミングだ

こっちのもうひと動きで、さて、どういう結末になるかな

相馬さん、今頃あの世でクスクス、笑ってるんじゃないのかな

きっと、「面白くなった、やれやれ」って

まあ、矢島さんはともかく、剣崎さんは承知のことだろう

私がどんな”ハラ”持ってるか

もう、狂った私のこと、よく理解してくれてるから

...


ああ、夜が明けたわ

長い夜だったけど…

アキラさんよ、楽しかったな、”一夜”を共にしてな

また、”お誘い”掛けたくなっちゃたよ、”違った”形でね

しばらくしたら、ここから開放だ

お疲れさま、少し、仮眠とってくれ

私はアタマ冴えわたっちゃって、眠れないんだよ

ハハハ…




ー本話完ー


注釈:本エピソードは、『ヒート・フルーツ』全編版(本サイトでは非公開)の第2部/第7章ー疵夏の恋人たちーより”惨夜の一室”から抜粋しました。






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