かくも激イカレな女たち
惨夜の一室より❹
麻衣
”フフッ、いつもながら、すぐわかるわ、あの轟音…”
皆、苦笑いしてるんだけど…
いい加減、年相応の車乗ってくれよ、ってところだろう
壁の時計は、午前2時半を少し回ったところだ
剣崎さんが店の階段を上がってくる
店の4人は、読みかけの週刊誌を手早にテーブルへと放った
...
剣崎さんが店に入ると、4人は一礼してすぐ店外に出る
店の中は、アキラと私と剣崎さんの3人になった
「予定通りってとこか…。打ったのか?」
剣崎さんは、奥のソファで横になってるアキラをちらっと見て、そう言った
「ほんの少量ですけど。倉橋さんが…」
「倉橋なら、その辺の看護婦より針慣れてるか…」だって
さあ、アキラさん、大事な話をしようぜ
奥のボックスでさ
...
私は缶ビールを冷蔵庫から2本取ってきて、二人が向合ってるテーブルに置いた
私はカウンターで見物だ、とりあえずね
剣崎さんは、まずビールを一気に飲み干した
「オレは相和会の剣崎だ。名前くらいは知ってると思う」
「ええ」
「こっちも君のことは承知しているよ。K地区の地上げでは、名を挙げたな。それに、あのライブハウスを繁盛させたのも、君の貢献が大きいとか。そんな君に、こんな理不尽な真似してすまなかった。まず謝罪しよう」
剣崎さんはアキラに20秒くらい頭を下げた、座ったままだが…
「その上で、率直に言う。今日の行動は当然、俺たちサイドの都合ではある。だが、君とケイコの為でもある話でな…。建田さんの2代目は知ってるな?」
アキラは頷いた
「はっきり言って、あの人ではこの後ムリだ。時代に乗ってるように見えるが、違う。中期的に見て、時代に捨てられる人だ。相馬会長の”築いてきた”もん、失ってしまうよ。そこで、早晩、ひっくり返すつもりだ。矢を3本打ち放ってな」
ハハ…、剣崎さん、いつになく慎重だ
アキラの反応、じっと観察しながら言葉選んでるわ
「君には一本の矢の”一部”になってもらう。ケイコから聞いてると思うが、会長が残したクスリな、あれの始末の件は、建田組ということになる」
ハハハ、アキラさんよ、まだわかんないよな…
アンタにさっき、針で盛ったもん、その為なんだよ
「錠剤のルートは建田組だ。ムショに入る志願者も手配すんで、話は出来上がってる。君に痛い目を見てもらったのも、それの延長だ。そこでだ、ケイコが”やってる”のは、君経由ということにする。それで、ケイコは最小限の”傷”で普通の子に戻れる。君も犠牲は払うが、今の状況は清算できるんだ。その後は二人、一緒でいられるんだよ。なんの心配もせずに、ずっとな」
アキラ、必死に頭、整理してるようだ
考えろ
一番大事なもんはなんだか、自分が出来ること何なのか…
で…、剣崎さん、詰めに入ったようだ
ビール追加だってさ…
麻衣
”フフッ、いつもながら、すぐわかるわ、あの轟音…”
皆、苦笑いしてるんだけど…
いい加減、年相応の車乗ってくれよ、ってところだろう
壁の時計は、午前2時半を少し回ったところだ
剣崎さんが店の階段を上がってくる
店の4人は、読みかけの週刊誌を手早にテーブルへと放った
...
剣崎さんが店に入ると、4人は一礼してすぐ店外に出る
店の中は、アキラと私と剣崎さんの3人になった
「予定通りってとこか…。打ったのか?」
剣崎さんは、奥のソファで横になってるアキラをちらっと見て、そう言った
「ほんの少量ですけど。倉橋さんが…」
「倉橋なら、その辺の看護婦より針慣れてるか…」だって
さあ、アキラさん、大事な話をしようぜ
奥のボックスでさ
...
私は缶ビールを冷蔵庫から2本取ってきて、二人が向合ってるテーブルに置いた
私はカウンターで見物だ、とりあえずね
剣崎さんは、まずビールを一気に飲み干した
「オレは相和会の剣崎だ。名前くらいは知ってると思う」
「ええ」
「こっちも君のことは承知しているよ。K地区の地上げでは、名を挙げたな。それに、あのライブハウスを繁盛させたのも、君の貢献が大きいとか。そんな君に、こんな理不尽な真似してすまなかった。まず謝罪しよう」
剣崎さんはアキラに20秒くらい頭を下げた、座ったままだが…
「その上で、率直に言う。今日の行動は当然、俺たちサイドの都合ではある。だが、君とケイコの為でもある話でな…。建田さんの2代目は知ってるな?」
アキラは頷いた
「はっきり言って、あの人ではこの後ムリだ。時代に乗ってるように見えるが、違う。中期的に見て、時代に捨てられる人だ。相馬会長の”築いてきた”もん、失ってしまうよ。そこで、早晩、ひっくり返すつもりだ。矢を3本打ち放ってな」
ハハ…、剣崎さん、いつになく慎重だ
アキラの反応、じっと観察しながら言葉選んでるわ
「君には一本の矢の”一部”になってもらう。ケイコから聞いてると思うが、会長が残したクスリな、あれの始末の件は、建田組ということになる」
ハハハ、アキラさんよ、まだわかんないよな…
アンタにさっき、針で盛ったもん、その為なんだよ
「錠剤のルートは建田組だ。ムショに入る志願者も手配すんで、話は出来上がってる。君に痛い目を見てもらったのも、それの延長だ。そこでだ、ケイコが”やってる”のは、君経由ということにする。それで、ケイコは最小限の”傷”で普通の子に戻れる。君も犠牲は払うが、今の状況は清算できるんだ。その後は二人、一緒でいられるんだよ。なんの心配もせずに、ずっとな」
アキラ、必死に頭、整理してるようだ
考えろ
一番大事なもんはなんだか、自分が出来ること何なのか…
で…、剣崎さん、詰めに入ったようだ
ビール追加だってさ…