【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「あの、ブラントさま……昨日はとても楽しかったです。本当にありがとうございました」


 ラルカがそう言って頭を下げる。ブラントは嬉しそうに目元を和ませた。


「お礼を言うのは僕の方です。昨日はとても楽しかった――――人生最高の一日でした。僕の願いを叶えてくれて、ありがとう、ラルカ」

「そんな、大袈裟ですわ」


 返事をしながらクスクス笑っていると、ふわりと、ブラントがラルカの手の甲に触れるだけのキスをする。


「本心ですよ」


 悪戯っぽい笑み。
 ラルカの身体がビクッと跳ねる。
 残念ながら、こうした触れ合いにはまだまだ慣れそうにない。


「髪飾りも……付けてくださっているのですね?」


 ブラントはそう言って、ラルカの髪にそっと触れる。胸をドキドキさせつつ、ラルカはコクリと頷いた。


「嬉しいです。僕が贈ったものをラルカが身につけてくれるのが、とても嬉しい」


 はにかむような笑みのブラントに、ラルカはそっと目を細める。


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