【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「まあまあ。呼称はさておき、ラルカは楽しかったんでしょう?」

「…………はい。とても、楽しかったです」


 答えつつ、ラルカは思わずはにかんでしまう。

 楽しかった。
 嬉しかった。
 ――――どんなに言い訳したところで、それだけは変えようのない事実だ。

 昨日の出来事を思い出すだけで、笑顔になれる。幸せを感じてしまう。
 もう一度、またすぐに出かけたいと、そう思ってしまうほどに。


「良かったじゃない。本当に羨ましいわ。休憩時間に色々と話を聞かせてちょうだいね?」


 エルミラはそう言って穏やかに微笑む。ラルカはコクリと頷いた。


「それはそうとエルミラさま。実はわたくし、ブラントさまと一緒に出かけたことで、やってみたいことができたのですわ」

「やってみたいこと? 一体どんな?」


 瞳をキラキラと輝かせるラルカの姿に、エルミラは思わず首を傾げる。


「今度開催する子供たちのためのチャリティーイベントで、わたくしのドレスを貸し出したいと思っていまして……!」


 まっさらな紙にペンを走らせつつ、彼女は活き活きと声を弾ませた。


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