【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「元々、何かイベントの目玉になる催しを探しておりましたでしょう? バザーだけでは集客が見込めませんものね。
その点、わたくしのドレスならば、元手無しでいくらでもお貸しできますし、多少なりとも女性の関心を惹けるのではないかと思いますの」

「なるほど……確かに、貴女のワードローブは豊富だし、華やかだものね。オシャレ好きの女性にはたまらないかも」


 小さく唸るエルミラに、ラルカは苦笑を浮かべる。


「領地から運ばせれば、幼い頃に着ていたドレスも大量にご用意できますわ。放って置いても埃を被るばかりで勿体ないですから」

「だけど、ラルカ。そんなことをすれば、ご家族と連絡を取らないといけなくなるのではなくて? 大丈夫なの?」


 メイシュのせいでラルカが苦しんでいたことを知っているだけに、エルミラは不安を感じてしまう。


「ありがとうございます。エルミラさまのおっしゃるとおりですわ。
だけど、わたくしはどうしても、このイベントを成功させたいんです」


 そう口にするラルカの瞳には、強い光が宿っている。エルミラは小さく息を呑んだ。


< 105 / 219 >

この作品をシェア

pagetop