【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
 当日の警備については、ラルカの大きな懸念事項だった。エルミラの近衛経由で各署に依頼を出す予定でいたのだが、アミルに話を通してもらったほうが、事はずっとスムーズに進められる。


「もちろんです。殿下もイベントのことを気にしていましたし、当然のことですよ」


 本当に頼もしい限りだ。ラルカは羨望の眼差しをブラントへと向けた。


「あ、あの! 差し出がましいとは存じますが、よろしければこのまま、ブラントさまにご助言いただきたいことがあるのです」

「……? はい、僕で良ければ何なりと」


 ブラントはニコリと微笑み、首を傾げる。ラルカはそっと身を乗り出した。


「先程のわたくしの案なのですが、女性や女の子にとっては、とても魅力的だと思うのです。
けれど、これだけだと、男性や男の子にとって魅力のないどころか、近寄りがたいイベントになってしまいそうだと思ってまして」

「ああ、なるほど……」


 あの後、企画を煮詰めていく中で、このままでは参加者が女性に偏ってしまいそうだという壁にぶち当たった。女性向けのイベントだと見做されて、男性が全く集まらない可能性がある、ということも。

 けれど、デメリットが分かったところで、男性をターゲットにした案がすぐに用意ができるわけでもない。

 だからこそラルカは、男性であるブラントに助言を求めてみようと考え至ったのだ。


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