【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「――――交流する相手を間違ってますよ? ラルカは既に僕の婚約者ですから」
ドスの利いた声音。
顔は笑っているのに――――普段穏やかなブラントの変わりように、ラルカは思わずギョッとしてしまった。
「知っているよ! 知っているが、あまりにも急展開過ぎるだろう⁉ アミル殿下の側近になったら、ラルカ孃との接点も増えると思ったのに! あっという間にお前と婚約を結んでしまったんだから」
「そうだぞ、ブラント! 一人で抜け駆けするなんてあんまりだ! せめて俺たちにも、ラルカ孃と話ぐらいさせてくれよ!」
「へ? えぇと……え?」
ラルカは決して鈍いわけではない。彼等が何を言わんとしているのか、分からないわけでもない。
だが、にわかには受け入れがたい話だ。そんなことを考えている人がいるだなんて、想像もしていなかったのである。
(良いのかしら?)
正直、別の男性に言い寄られたところで困るだけなので、ブラントが庇ってくれるのはありがたい。
けれど、こんな風に『婚約者』だと対外的にアピールして、後々ブラントは困らないのだろうか? 迷惑をかけるのではないだろうか?
将来、彼が本当に結婚をしたいと思ったときに、ラルカのことが障害になりはしないだろうか? ――――そんなことを考えながら、ラルカの胸が小さく軋む。
ドスの利いた声音。
顔は笑っているのに――――普段穏やかなブラントの変わりように、ラルカは思わずギョッとしてしまった。
「知っているよ! 知っているが、あまりにも急展開過ぎるだろう⁉ アミル殿下の側近になったら、ラルカ孃との接点も増えると思ったのに! あっという間にお前と婚約を結んでしまったんだから」
「そうだぞ、ブラント! 一人で抜け駆けするなんてあんまりだ! せめて俺たちにも、ラルカ孃と話ぐらいさせてくれよ!」
「へ? えぇと……え?」
ラルカは決して鈍いわけではない。彼等が何を言わんとしているのか、分からないわけでもない。
だが、にわかには受け入れがたい話だ。そんなことを考えている人がいるだなんて、想像もしていなかったのである。
(良いのかしら?)
正直、別の男性に言い寄られたところで困るだけなので、ブラントが庇ってくれるのはありがたい。
けれど、こんな風に『婚約者』だと対外的にアピールして、後々ブラントは困らないのだろうか? 迷惑をかけるのではないだろうか?
将来、彼が本当に結婚をしたいと思ったときに、ラルカのことが障害になりはしないだろうか? ――――そんなことを考えながら、ラルカの胸が小さく軋む。