【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「あいつが俺の側近を目指したのだって、元を辿れば不純な動機からだ。今は信用してくれているようだが、ブラントの優先順位は昔から一つも変わっていない。あいつは――――君のことが心配でたまらないらしい」
アミルはそう言って、ぶっきら棒な手付きでラルカを撫でる。なんとなく歯切れの悪い様子に、ラルカはそっと首を傾げた。
「君は、俺の妃候補に入っていたことを知っていただろうか?」
「へ? ……どなたが、ですか?」
「ラルカ嬢が。
君は俺の妃候補だったんだ」
それはあまりにも予想だにしない発言で。
ラルカは大きく首を横に振る。
「いいえ、殿下。そんなまさか……」
「まさか、ではない。君は由緒正しき伯爵家の令嬢で、美しく、何より国を大事に想ってくれている。エルミラの元で、精力的に公務をこなしてきた実績もある。優秀な才女との呼び声も高かった。妃に相応しい――――適任だと考えるのは当然だろう?」
ラルカはしばし呆然としてしまう。
言葉の意味はわかるのだが、内容がちっとも飲み込めない。
彼女にとっては、本当に寝耳に水の話だった。
ラルカは色恋沙汰には疎くとも、仕事に関する噂ならば積極的に集めるようにしている。
それなのに、自身がアミルの妃候補だという話は、ついぞ耳にしたことがなかった。
アミルはそう言って、ぶっきら棒な手付きでラルカを撫でる。なんとなく歯切れの悪い様子に、ラルカはそっと首を傾げた。
「君は、俺の妃候補に入っていたことを知っていただろうか?」
「へ? ……どなたが、ですか?」
「ラルカ嬢が。
君は俺の妃候補だったんだ」
それはあまりにも予想だにしない発言で。
ラルカは大きく首を横に振る。
「いいえ、殿下。そんなまさか……」
「まさか、ではない。君は由緒正しき伯爵家の令嬢で、美しく、何より国を大事に想ってくれている。エルミラの元で、精力的に公務をこなしてきた実績もある。優秀な才女との呼び声も高かった。妃に相応しい――――適任だと考えるのは当然だろう?」
ラルカはしばし呆然としてしまう。
言葉の意味はわかるのだが、内容がちっとも飲み込めない。
彼女にとっては、本当に寝耳に水の話だった。
ラルカは色恋沙汰には疎くとも、仕事に関する噂ならば積極的に集めるようにしている。
それなのに、自身がアミルの妃候補だという話は、ついぞ耳にしたことがなかった。