【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「ラルカ嬢。君は、あいつの想い人が誰なのか、気づいていないのだろうか?」
アミルが尋ねる。
ラルカはしばし逡巡し、それから大きく首を横に振った。
「本当に? 全く、見当がつかないのか?」
「はい。
……あっ! けれど、先日一緒に出かけた際に、騎士としてやっていこうと決めたキッカケがあると――――そう思わせてくれた女性が居ると、話していらっしゃって」
確か、ブラントが騎士を辞めようとしていたのも、先程アミルが言及したのと同じ三年前のことだ。
アミルは同時に、ブラントが彼の側近を目指した理由は不純な動機からだと話していた。
(もしかして、ブラントさまは想い人に近づきたくて――――それでアミル殿下の側近になりたかったの?)
ありえる。
寧ろ、そう考えた方がしっくりくる。
(もしかして)
アミルの側近になることで、親しくなれるであろう女性。
一介の貴族では、おいそれと近づくことのできない女性。
簡単には結婚の叶わない女性。
そんな女性が一人だけ、居るではないか。
ラルカはブラントの隣で微笑む女性――――エルミラをそっと見遣る。
胸が千切れそうなほど、大きく軋んだ。
アミルが尋ねる。
ラルカはしばし逡巡し、それから大きく首を横に振った。
「本当に? 全く、見当がつかないのか?」
「はい。
……あっ! けれど、先日一緒に出かけた際に、騎士としてやっていこうと決めたキッカケがあると――――そう思わせてくれた女性が居ると、話していらっしゃって」
確か、ブラントが騎士を辞めようとしていたのも、先程アミルが言及したのと同じ三年前のことだ。
アミルは同時に、ブラントが彼の側近を目指した理由は不純な動機からだと話していた。
(もしかして、ブラントさまは想い人に近づきたくて――――それでアミル殿下の側近になりたかったの?)
ありえる。
寧ろ、そう考えた方がしっくりくる。
(もしかして)
アミルの側近になることで、親しくなれるであろう女性。
一介の貴族では、おいそれと近づくことのできない女性。
簡単には結婚の叶わない女性。
そんな女性が一人だけ、居るではないか。
ラルカはブラントの隣で微笑む女性――――エルミラをそっと見遣る。
胸が千切れそうなほど、大きく軋んだ。