【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
(あら? ブラントさまがアミル殿下の側近を目指したのは、エルミラさまのため……よね?)


 今のアミルの発言は、先程立てたばかりの仮定と上手く繋がらない。

 よくよく考えてみれば、アミルの近衛騎士になれば、確かにエルミラと接近できる可能性は格段に上がる。だが、それよりエルミラ自身の近衛騎士を目指した方が、遥かに効率が良い。顔も名前も覚えてもらえるし、有能さをアピールする機会だって大いにある。

 そもそも、ブラントは根回しをする程に、ラルカが妃に相応しくないと思っていたのだろうか?

 アミルの言葉を逡巡しながら、ラルカはますます混乱してしまった。


「とにかく、勤務時間ももう終わりですし、僕とラルカはこれで失礼します。
ラルカ、帰りましょう?」


 ブラントはそう言って、ラルカの手をギュッと握る。
 彼の笑顔は真っ直ぐラルカだけに向けられていて。何故だか無性に目頭が熱くなった。


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