【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
『貴方がこんなに頑張っているんですもの。わたくしもきちんと、自分の気持ちと向き合ってみたいと思います。仕事も――――人に言われたことをするんじゃなくて、わたくしに求められているのは何なのか、考えてみます』
自分とはなんなのか。
選ぶとはどういうことか。
人形のような人生が当たり前だった。それで良いと思っていた。
どれでも良い。
何でも良い。
失敗をしても、成功しても、何も感じることはない。
けれど、それじゃいけない。
このままじゃいけない。
自分の人生に責任を持たなければ。
本気を出して生きなければならない。
(わたくしを変えたのは、ブラントさまだったのね……)
悔しげに涙を流す幼い日のブラントを見て、ラルカは『変わりたい』とそう思ったのだ。
記憶が鮮明に蘇り、ラルカの心がぶるりと震える。
ブラントはラルカの両手をギュッと握った。
「――――もしもあの時ラルカに出会わず、騎士を辞めて文官になっていたとしたら……僕は今頃、アミル殿下にお目通りすら叶っていなかったと思います。大した仕事も任せられず、周囲を責め、漠然と仕事をこなしながら生きていたことでしょう」
「ブラントさま……」
「僕はラルカと出会ってから、自分の選択を誇れるようになりました。心から誇れるよう、生きていきたいと思いました。
ラルカが認めてくれた僕だから――――もう一度自分を信じてみようと。腐らず、一から頑張ろうと思いました。
ラルカが僕を変えてくれたのです」
ブラントの微笑みは至極温かい。その温もりを味わうようにラルカはそっと目を瞑る。
自分とはなんなのか。
選ぶとはどういうことか。
人形のような人生が当たり前だった。それで良いと思っていた。
どれでも良い。
何でも良い。
失敗をしても、成功しても、何も感じることはない。
けれど、それじゃいけない。
このままじゃいけない。
自分の人生に責任を持たなければ。
本気を出して生きなければならない。
(わたくしを変えたのは、ブラントさまだったのね……)
悔しげに涙を流す幼い日のブラントを見て、ラルカは『変わりたい』とそう思ったのだ。
記憶が鮮明に蘇り、ラルカの心がぶるりと震える。
ブラントはラルカの両手をギュッと握った。
「――――もしもあの時ラルカに出会わず、騎士を辞めて文官になっていたとしたら……僕は今頃、アミル殿下にお目通りすら叶っていなかったと思います。大した仕事も任せられず、周囲を責め、漠然と仕事をこなしながら生きていたことでしょう」
「ブラントさま……」
「僕はラルカと出会ってから、自分の選択を誇れるようになりました。心から誇れるよう、生きていきたいと思いました。
ラルカが認めてくれた僕だから――――もう一度自分を信じてみようと。腐らず、一から頑張ろうと思いました。
ラルカが僕を変えてくれたのです」
ブラントの微笑みは至極温かい。その温もりを味わうようにラルカはそっと目を瞑る。