【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「もしかして、エルミラさまはどちらもご存知だったのですか?」

「当たり前でしょう? 私を誰だと思っているの?
まぁ、妃候補の件は、お兄さまとブラントに頼まれたから、貴女には内緒にしていたけどね。
私としては、素晴らしい女性を妃に迎えたいし、とても不服だったけれど、二人がどうしてもって言うんだもの。仕方がないわ」

「エルミラさま……」

「それで? そこでようやくブラントの気持ちに気づいたってわけ?」


 エルミラが容赦なく核心を突く。ラルカは頬を真っ赤に染めた。


「…………厳密に言いますと、気づいた訳ではなくて。実はわたくし、大きな思い違いをしておりましたの」

「思い違い?」

「はい。実は――――殿下とお話をさせていただいた時点では、ブラントさまの想い人が、そのぅ……エルミラさまだと勘違いをしていたのです」

「ぷっ……! 私⁉」


 その瞬間、エルミラが盛大に吹き出した。普段は冷静な彼女らしくない、楽しげな笑い声。ラルカは驚きのあまり、あんぐりと口を開けてしまう。


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