【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「だけど、結婚相手を決めなければ、いつまで経っても姉が領地に帰ってくれない。……それで困っているのです。
たくさんの釣書をもらいました。この中から相手を選べと。
けれど、お見合いを考えるぐらいですもの。皆様きっと、本気で結婚相手を探していらっしゃるでしょう? 実際にお会いしたら、トントン拍子に婚約が進んでしまいそうで怖いのです。
最近では、『姉さまを納得させるために、仮初の婚約を結んでほしい』なんて無茶なお願いを聞いてくれる男性がいたら良いのに、なんて夢を見る始末で」
ラルカはそう言って、自虐的に笑う。
いずれはラルカも結婚をしたいと思うときが来るかもしれない。
けれど、少なくともそれは今ではない。
願いを叶えるためには、時間稼ぎが必須だ。
彼女とともにメイシュに逆らい、結婚を先延ばしにしてくれる人――――若しくは婚約を結びつつ、頃合いを見て解消してくれるような人――――そんな人がいれば良いのにと夢想し、現実逃避をしてしまう。
「だったら、僕なんて如何でしょう?」
「……え?」
思いがけない言葉に、ラルカは目を瞠った。
騎士がゆっくりと立ち止まる。ラルカも彼にならって、その場にゆっくりと立ち止まった。
しばし互いを見つめ合い、息を呑む。
やがて騎士が再び口を開いた。
「ラルカ嬢、僕と婚約しましょう」
たくさんの釣書をもらいました。この中から相手を選べと。
けれど、お見合いを考えるぐらいですもの。皆様きっと、本気で結婚相手を探していらっしゃるでしょう? 実際にお会いしたら、トントン拍子に婚約が進んでしまいそうで怖いのです。
最近では、『姉さまを納得させるために、仮初の婚約を結んでほしい』なんて無茶なお願いを聞いてくれる男性がいたら良いのに、なんて夢を見る始末で」
ラルカはそう言って、自虐的に笑う。
いずれはラルカも結婚をしたいと思うときが来るかもしれない。
けれど、少なくともそれは今ではない。
願いを叶えるためには、時間稼ぎが必須だ。
彼女とともにメイシュに逆らい、結婚を先延ばしにしてくれる人――――若しくは婚約を結びつつ、頃合いを見て解消してくれるような人――――そんな人がいれば良いのにと夢想し、現実逃避をしてしまう。
「だったら、僕なんて如何でしょう?」
「……え?」
思いがけない言葉に、ラルカは目を瞠った。
騎士がゆっくりと立ち止まる。ラルカも彼にならって、その場にゆっくりと立ち止まった。
しばし互いを見つめ合い、息を呑む。
やがて騎士が再び口を開いた。
「ラルカ嬢、僕と婚約しましょう」