【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
 さて、会場は三つのブースに分かれて運営される。


 北側のブースは、主に男性や男の子たちのために設置されたもの。
 こちらでは剣技や乗馬、騎士装束を体験することができる。ブラントや騎士たちが担当だ。
 ブラントは後ほど、中央に設置されたステージで、模擬剣技も披露することになっている。こちらについては休憩時間を合わせてラルカも見に行く予定だ。


 南側には主に女性や女の子たちのためのブースが設置されている。
 数百に渡るドレスの中から、自由に、好きな一着を選んで着てもらうことが可能だ。
 ブースにはエルミラの侍女や、ラプルペ家の侍女たちが多数スタンバイしており、訪れた人々の着替えや化粧を行う。宮廷絵師や王都で活動する絵師たちを抱き込んで、有料で記念の肖像画を描くサービスも準備した。
 こちらのブースはラルカが責任者を務める。


 最後に、中央のブース、ステージの隣には、孤児院で暮らす子どもたちや、ラルカたちがコツコツ準備した品物が並べられた。手芸品やお菓子が主な商品で、こちらのブースにはエルミラとアミルが待機し、訪れた人々へのお礼を述べ、握手等の交流を行うことになっている。
 心からチャリティーに関心がある人や、年配者、王族ファンたちにはこちらのブースが最も喜ばれるだろう。


 どのブースも狙い通り――――いや、期待以上の盛況ぶりだ。
 ラルカは汗を拭いつつ、満足感を噛みしめる。


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